別府中央公民館とその周辺

大正ロマンを感じさせる洋風、和風を問わずに、質の高い近代建築が続々と建てられていた頃の別府を代表する建築として、昭和3年3月公会堂が生まれました。その後、別府中央公民館となり、長い間市民に親しまれてきましたが、平成26年10月に老朽化したこの建物の改修工事が着工されました。そして、平成28年4月に別府市公会堂としてリニューアルオープンしました。

JR別府駅西入り口を、まっすぐ山の手の方角に進み、大きな交差点を左に曲がって歩くと、別府中央公民館が見えてきます。古い洋館の建物ですが、文化の薫り高い建物として市民に親しまれている公民館です。

昭和初期の別府の街は、鉄道の線路を境に、緑が多く静寂な雰囲気の山の手と活気溢れる下町に分かれていました。その山の手の景観の核となっていたのが、この別府中央公民館でした。

バルコニーで凹凸をつけた格調の高い重厚な正面のたたずまい。

建物の横にまわってみました。

半円や丸窓の組み合わせは、抽象的な絵画や彫刻を見ているようです。

内部に入ってみると、白い壁にアールデコ調の曲線が美しい内装に眼が行きます。静寂の中に重々しい造作が落ち着きを感じさせます。

窓にやわらかな模様が施しています。

星月夜をデザインしたステンドグラス。

美しいステンドグラスの窓は見る人の心を魅了します。

やさしく温かいデザイン要素をちりばめ、ロマンチックな空間を創り出しています。

公民館の玄関脇にあるラッパのような造形物。

■史跡「千辛萬苦乃場」
公民館の敷地内にあるこの建物は、明治維新の元勲、井上馨侯が慶応元年(1865)若き長州藩士であったころ、京での戦争に傷ついき逃れ別府に隠れ住み、刀傷を癒した若松屋の離れです。今から96年前の明治44年(1911)5月に再訪した井上侯が若松屋に感謝し、その部屋を「千辛万苦之場」と名付けた。
建物の横にその記念碑が建てられています。

■田の湯館
道路をはさんで公民館前にあった、洋風木造三階建別荘田の湯館、寄棟造桟瓦葺の屋根が特徴。(写真は2007年5月に撮影)

しかし、この古きよき時代の建物も、2009年に倒壊され、現在は在りません。何とももったいない気がしますが…。

以上が別府中央公民館とその周辺の紹介でした。
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